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消炎・鎮痛貼付剤使用時のポイント

貼付剤の吸収に影響を与える因子

薬物の物性

分子量

小さい分子量の薬物ほど皮膚の透過性が高まる。分子量が500を超えるとヒト皮膚からの透過はしにくくなるが、バリア機能が低下している皮膚では、分子量が大きな薬物でも透過してしまうことがある。各成分の構造式を右図に示す。

融点

薬物の皮膚透過性は、角層に対する溶解度が高いほど向上し、融点が低いほうが角層に溶解しやすく、皮膚透過性が高まる 。

親油性、親水性(分配係数)3)

一般的に角層は脂溶性に富んだ組織のため、脂溶性の薬物は角層へ移行しやすく、逆に水溶性の薬物は移行しにくいといわれている。
脂溶性と水溶性は「オクタノール/ 水分配係数」で示され、皮膚から吸収されやすい物質は、分子量500 以下4)で分配係数の値が1 ~ 4が適当であるといわれている。

1

基剤・添加剤3)

貼付剤は有効成分、基剤、添加剤から調製され、基剤は経皮吸収性の保持、使用感の向上、有効成分の安定性の役割を担う。添加剤には界面活性剤、保存剤、抗酸化剤、pH 調節剤などが挙げられ、中には有効成分の吸収促進5)に好影響を与える物質もある。
患者によっては添加剤による皮膚アレルギーなどの皮膚障害が生じる可能性があり、また、先発医薬品と後発医薬品では、基剤の違いにより使用感に違いが生じアドヒアランスの低下に影響したり、添加剤の違いによって有効性や安全性に影響することがある。

貼付剤の粘着性

貼付剤は皮膚に対して確実に粘着することで、薬剤が皮膚に移行する6)ため、消炎・鎮痛貼付剤でも粘着性が重要である。しかし、粘着力が高すぎると、剥離時に角層剥離を強く起こし皮膚障害の要因となり、粘着剤の凝集力を抑えすぎると、テープ剤の剥離時に粘着剤が皮膚に残留する可能性があり、痒みや炎症をもたらすことがある。3)
粘着剤の性能評価方法は、JIS Z 02377)で様々な試験項目が規定されているが、一般的には粘着力、保持力、ボールタックにより粘着性能が評価される(これらを粘着3物性と呼ぶ。p.49 Memo 粘着3物性の試験方法を参照)。その他にも実用的な評価方法は複数あり、タック(粘着性)についてはプローブタック等が必要に応じ用いられる。また、下記のような試験方法が報告されているように、今後の粘着性能評価のあり方は、ヒトの皮膚との相関が重要になると考えられる。

  • ヒトの皮膚による試験(in vivo)8-14)
  • ラット皮膚を用い脂質の影響を検討した試験(in vitro)15, 17)
  • 腕模型を用いた試験10)
  • バイオスキンプレートを用いた試験10)
  • 人工の汗や水を添加して行う試験16, 17)
  • 高い室温条件下の影響をみる試験12)

MEMO 粘着3物性の試験方法

  1. 粘着3物性の試験方法(JIS Z 0237)の概略を示す。


    1

    粘着力(180°もしくは90°剥離試験)
    テープを試験板に貼り付け、試験板から180°もしくは90°方向に引きはがすのに要する力を評価する。
    テープのはがれにくさの目安になる。

  2. 2

    保持力
    試験板にテープを貼り付け、荷重を掛け落下する時間を測定する。長さ方向に荷重をかけた時の耐える力を評価する。

  3. 3

    傾斜式ボールタック
    30°(必要に応じ20°または40°)の傾斜上で鋼球(1/32~32/32インチ)を転がし、粘着テープの上で停止する鋼球の最大の大きさを測定する。軽い力で短時間に粘着する力を評価できる。

                 
  • 3) 大井一弥 編著:ワンポイントマスター そこが知りたい!貼付剤 ―皮膚特性に応じた適正使用―. p.21, p.25, p.33, 講談社, 2014
  • 5) 髙山幸三:経皮吸収型製剤のADME. 医学と薬学, 56(5), 695-702, 2006
  • 6) 亀田和彦 ほか:モーラステープにおける剥離力とケトプロフェン透過との関係. 日本薬剤学会年会講演要旨集, 29 年会, 202, 2014
  • 7) 日本工業規格JIS Z 0237 粘着テープ・粘着シート試験方法. p.10-11, p.15, p.17, 2009
  • 8) 村島有紀 ほか:In vivo とin vitro におけるテープ剤の粘着性. 日本薬学会年会要旨集, 124 年会(4), 100, 2004
  • 9) 加瀬奈津美 ほか:In vivo とin vitro におけるテープ剤の粘着性(2). 日本薬学会年会要旨集, 125 年会(2), 108, 2005
  • 10) 片山怜 ほか:In vivo とin vitro におけるテープ剤の粘着性(3) -腕模型及びバイオスキンプレートに対する粘着力の評価- . 日本薬学会年会要旨集, 126 年会(2), 108, 2006
  • 11) 天賀谷祐子 ほか:In vivo とin vitro におけるテープ剤の粘着性(4) -水を含有するテープ剤のin vivo とin vitro の粘着性に影響する因子- . 日本薬学会年会要旨集, 127 年会(3),113, 2007
  • 12)田島義朗 ほか:In vitro 試験板およびin vivo ヒト皮膚におけるテープ剤の剥離力に対する温度の影響に関する研究. Drug Delivery System, 24(3), 358, 2009
  • 13) 矢部雅子 ほか:引張圧縮試験機とステンレススチール板を用いたテープ剤の剥離試験法.日本薬学会年会要旨集, 130 年会(4), 223, 2010
  • 14) 足立大 ほか:テープ剤の主観的剥離力に対するテープ剤の伸縮及び皮膚の伸びの影響に関する研究. 日本薬学会年会要旨集, 133 年会(2), 308, 2013
  • 15) 澁谷真紀 ほか:接着面温度の異なるテープ剤の剥離力に対する脂質の影響. 日本薬学会年会要旨集, 132 年会(4), 161, 2012
  • 16) 平舩寛彦 ほか:人工汗を用いた放出試験による先発パップ剤と後発パップ剤の比較. 医療薬学, 30(11), 723-729, 2004
  • 17) 加藤康弘 ほか:テープ剤の剥離力に対する発汗及び脂質の影響に関する研究. 日本薬学会年会要旨集, 133 年会(2), 308, 2013
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